スカイ・クロラと若者の心の奥底
森博嗣原作、押井守監督の映画『スカイ・クロラ』に描かれる、思春期の姿のまま年をとらない「キルドレ」達は、大人たちが始めた「ショーとしての戦争」での戦闘機のパイロットです。
永遠に繰り返す退屈な日常から抜け出すため、彼らは空に向かいます。
「今、若い人たちに伝えたいことがある」との思いで作られたこの映画のパンフの中で、押井守は、こう語っています。
「この国には今、飢餓も、革命も、戦争もありません。衣食住に困らず、多くの人が天寿を全うするまで生きてゆける社会を、我々は手に入れました。
しかし、裏を返せば、それはとても辛いことなのではないか、と思うのです。
永遠にも似た生を生きなければならないという状況。
その中で次々に引き起こされる痛ましい事件。
親が子を殺し、子が親を殺す時代。
何の理由もなく、若者が自ら命を断つ時代。
物質的には豊かだけれど、今、この国に生きる人々の心の中には、荒涼とした精神的焦土が広がっているように思えてなりません。
ニートやフリーター、渋谷のセンター街で座り込む少女たち、親を殺した少年。
彼らを大人の目線で見下し、まるで病名のような名前を与えても、何の本質にも至りません。
今こそ、彼らの心の奥底から聞こえる声に耳を澄まし、何かを言ってあげるべきだと思うのです。」
心の奥底からの助けを呼ぶ叫びに私たちは耳をかたむけなければならなりません。
そしてその時に私たちはどういった返答をもっているのか。考えなければなりません。
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